カワイ展によせて
2004年4月13日から28まで(日、月曜日はお休みです)

































千年ほど以前に、

“をかし” や “あわれ”の文化があった。


その時代の担い手は、女性。


それは、いかにも日本らしい現象である。

千年前の“をかし”が
、何度も生まれ変わって

今“かわいい”という言霊が

現代女性をとらえている。








“をかし”は、
花鳥風月の中からあふれ出して、
仮名文字となって現れたが、

現代における“かわいい”は、おもに

商品から出でて、
女性の肉声となって
表出した

と言えよう。


いまや50歳以上の女性でさえ、
“かわいい”は常套句である。


お気に入りの品物に対しては、
“かわいい”を惜しげもなく連発する。

その意味の深さは、絶大である。

私などから言えば
“しぶい”と表現したいものまで、
“かわいい”は代弁する。


“をかし”が
含有していた情緒以上に、
“かわいい”は雄弁である。












注目したいのは
“をかし”が花鳥風月と自分との関係であった
のに対して、

“かわいい”は、
商品と自分との関係であることだ。


高度成長期からバブルまで、
商品は溢れに溢れ、
売り手側からの高飛車な広告や
過度な情報で、消費者は振り回された。



その結果、
消費者は、個人が個人として
“これ 好き!”って
言えなくなった。



売り手が強力なメディアによって、
流行を作り出し続けたからだ。


その状況は、かつての奈良、平安の
男文化、漢字文化の枷に似ている。

平安の女性が、漢字で自己表現が
できなかったように、
売り手によって作られた美意識は、
現代の一般消費者には
そぐわないものがあった。
特に、ショッピングを楽しむ女性は、
自分自身の美意識が希薄になって
いくのを切実に感じていたに違いない。


そんな状況への反発から、生まれたのが
“かわいい”
  っていう女性の肉声

なのだと思う。



商品と自分が一対一で対峙して、
商品と自分が会話する言葉として・・・

そんな魔術的な言葉だ。












しかしながら、バブル崩壊後、
この“かわいい”のニュアンスも
いささか変化しつつある。



どう言ったらいいのかわからないが、
言霊に寿命があるのなら、
“かわいい”は青年期を
終えてしまったようだ。

壮年期を迎えようとしている。



つまり、より熟成したひとつの文化を
形成しつつあるように思う。


大量の商品から、“かわいい”ものを、
血眼になって探す時代は去り、
“かわいい”ものとの出会いを
最大限 重視する時代になろうとしている。



少々おちゃらけて言うならば、
“どうする〜アイフル〜”のチワワとの出会い
みたいな感じ。


それは、モノとの出会いと言うよりも、
むしろ自分自身との出会い。

チワワのかわいさに気づいてしまった
自分自身のかわいさとの出会いなのだ。


“かわいい自分”
発見の旅なのである。



そんな旅の停泊地にどうでしょう 
16人の女性作家による

“カワイ
展”!!


    
  
うつわのみせDEN 店長代理
    -田口巌-平成16年3月吉日



長谷川美知子
鷹尾葉子
レジーナイワキリ
赤瀬圭子
舘野文香
清水知子
宮嶋淳子
おかもとじゅん子
進藤千津子(大宇宙屋)
加藤 音
古角志奈帆
広谷 幸
堀田アツコ
江口早苗
内田可織
森 桃子
(順不同)


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